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2003/6/25
古紙市場からふたたび狙われはじめた機密文書/前編
 ここのところ日本経済新聞の市況欄では、頻繁に古紙の市場価格に関する情報が、掲載されるようになっています。杉並区では自治体が回収する資源ゴミの日になると、早朝から街中をリヤカーが走り回り、先にダンボールだけ回収してしまう集団が出没するなど、4〜5年前まで「古紙リサイクルシステムの崩壊か!」とまで言われていた需給バランスの悪さが嘘のような状況になっています。

 古紙価格のピークというのは22〜3年ほど前で、瞬間的でしたが、みかん箱の段ボールを1枚100円で古紙問屋が買い上げてくれた時もあり、当時は道端に落ちている段ボールも競い奪い合うように回収されていました。 この時代に急増したのが「ちり紙交換」というサービスですが、今や全くと言っていいほど見かけなくなりました。と言うのも、当時をピークに年々価格下落が続き、4〜5年前の底値の時は同じみかん箱が1枚5円と、二十分の一にまで下がってしまい廃業に追い込まれたようです。

 その結果、家庭から出される新聞等も「燃えるゴミ」同然の扱いとなり再利用されない時代が続きました。古紙は相場価格の業界なので、物が集まらなければ上昇する構図になってはいますが、行政が補助金支援をし、集団回収と言う方式が生まれたため一定量は確保されていた事で、価格は上昇もせず安値安定という状態が続いていました。

 安値要因としてもう一つ上げられるのは事業体の動きです。「資源再生促進法(リサイクル法)」や「環境基本法」が制定されたり、国際環境規格(ISO14001)のマネージメントシステムを事業体が進んで取り入れたりと、資源の有効活用を図る体制が、この20年の間に一気に整備された事で、供給過多が続いた事です。

 ところが昨今、古紙相場は反騰しています。あれだけ余っていた古紙はいったいどこへ消えてしまったのでしょう?大きな要因は下記の二つです。

@ 国内の製紙メーカーの殆どが古紙を原料とする大掛かりな設備を整えてきた事です。専門用語でDIP設備(脱墨工程技術)という物なのですが、これにより印字インク・ノーカーボン紙等の脱墨技術が改良され、従来禁忌品として邪魔物にされてきた紙が混じっていても再利用され、特にオフィスから排出されるミックスペーパーもリサイクル可能となり、大手製紙メーカーからも古紙原料の需要が喚起されはじめました。

A 製造業が主体となって生産拠点を中国へ移したことによる底知れぬ需要です。

 何ゆえ中国の経済改革が古紙の高騰に結びついたのか、更にこの状況下で再びターゲットを事業系古紙に向け始めた業界の事情と、新たに生じるリスクとは?この事についての情報は引き続き次号でお知らせ致します。

※写真は製紙工場で溶解処理される直前の事業系古紙。不純物は無く金属製の番線でくくられているが、コピー用紙などの上質古紙は含まれていない。誰がバインダーやクリップをはずし、誰が上質古紙との分別をし、どこでこのような状態に加工したのかこそが問題なのですが・・・。

結城 寛

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