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専門家インタビュー
権限の移譲とパートナーシップで成否がわかれるアウトソーシング
  石井 良一
ゲスト
石井 良一(いしい りょういち)
富士ゼロックスゼネラルビジネス株式会社
ビジネスサービス事業部 サイト営業部 部長
1999年より総務業務(オフィスサービス)を中心に受託するアウトソーシング業務に従事。現在は富士ゼロックス以外の企業に対するアウソソーシングの、コンサルタントから導入までを手がけ、特にオペレーションのコーディネイト力にはクライアントから高い評価を得ている。
    結城 寛
対談者
結城 寛(ゆうき ひろし)
境コンサルタント、
株式会社環境塾主宰
 
司会 株式会社日本パープルmamoru-kun.com編集室
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■立ち遅れている日本のアウトソーシング

司会 先日ある雑誌に欧米と比較して、日本のアウトソーシングは10年遅れているという記事が書かれていました。総務部門のアウトソーシング全般を請け負う立場と、文書処理のアウトソーシングをアドバイスされている立場にあるお二方は、果たしてそういったことを実感されているのでしょうか?

石井 日本では外注、業務代行も含めてアウトソーシングと称していますが、本来アウトソーシングというのは業務の運営の他に、設計から改善まで行うことを意味しています。つまりそれらに精通していなければアウトソーサーとは呼べないはずなのです。そういったことを考えますと、真のアウトソーサーというのはまだまだ少ないと思いますね。

司会 コンサルタントの能力が問われると・・・

結城 文書処理のアウトソーシングでは、本来、紙のリサイクルだけではなく、事業者における文書の発生から廃棄にいたるまでに精通していなければ、請け負えない業務であるはずなのですが、そこまで出来ている業者はまだ少数です。事実、先日お話をうかがった外資系金融機関の担当者は、金融機関における文書のライフサイクルを知った上でコーディネイトする能力がある業者でないと、任せるのが不安だとおっしゃっていました。はっきり言ってこの差は大きい。

石井 良一

石井 確かにそういう要素はあると思いますが、企業がどこまでアウトソーサーに求めているかということのほうが先決ですね。私どもは総務部門を包括的に請け負うことをしているわけですが、欧米にはAdministrationはあってもGeneralaffairsという概念はないですから、平気で丸ごとアウトソーシングしてしまう。日本では、本社総務と言えばある意味会社の中枢と目されていますから、そう簡単に事は運びません。おそらく10年遅れているというのは、日本固有の企業文化が、そこまで足を踏み込めずにいるため、効果的なアウトソースができていないということを指しているのではないでしょうか。

司会 単に労力を外部委託するだけでは、アウトソーシングとは言えないということですね。では効果が最大限発揮されるようにするには、具体的に何から始めたらよいのでしょう?

石井 月並みですが、アウトソーシングの目的を明確にするということです。戦略的に業務を再編したいのか、そうは言ってもスリム化したいのか、単に経費を抑制したいのかによって、おのずと全面的にアウトソーシングするべきか、範囲を選択するべきか、派遣社員で対応したらいいのか、はたまた外注がいいのかが決まってくるわけなのですが、まだまだアウトソーシングを目先のキャッシュアウトを減らす手段と誤解しているむきが、担当者だけでなく経営者にも数多く見受けられますね。

結城 寛

結城 アウトソーシングの本来あるべき姿は、コストパフォーマンスを向上させることによって生まれるマンパワーを、コアビジネスに向けるということなのでしょうが、経済誌などの情報ソースで概念は知っていても、営業や開発などの専門職でないと何が自分の仕事のコアなのか問われても、明確にわからないというのが実態なのかもしれませんね。特に総務というのは何でも屋という印象が強い。

石井 確かに総務の仕事というのはワンストップでやらないと意味が無いんですね。例えば購買はA社、庶務はB社 経理はC社とすると必ずそれらをコントロールする仕事がユーザーに残ってしまいます。さらに派遣社員でまかなおうとすれば、戦略はおろか戦術までもコントロールしなければならなくなってしまうわけですから、バラ売りならぬバラ買いだと本当の意味でのアウトソーシング効果が得られません。

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